国土の7割を山間部で占める山の国日本には1万の山と1万の峠があると言われています。わたしは峠に惹かれて北の峠、南の峠と訪ねるうちに北海道最果ての峠「知床峠」から、九州最南端鹿児島の「耳取峠」まで全国の峠を巡り歩いていました。峠の語源は「手向け」がひとつの説です。古代の日本人は山には神が宿ると信じ、五穀豊穣も大雨や天災や飢饉も神の成す事だと思った。そして山と山のたわむところを神が休む場所と考え、そこへその年に出来た米や穀物、酒などを神に「手向け」五穀豊穣を願いました。「手向け」が時を経て「峠」になったと言われています。「峠」は神に感謝する場所でした。
人の顔がそれぞれ違うように、各々の峠には各々の顔があります、歴史に登場する峠や、映画や文学の舞台になる峠、また峠を挟んで、戦場と化した峠など、峠に立つと今まで知らなかった様々なことを知りました。峠に立ち眺望の美しさにも惹かれますが、峠にまつわる伝説や秘話の数々は、日本人が千年も2千年も培ってきた歴史そのものであり、峠は「歩く歴史」だと気づきました。注目されることもない「歩く歴史 峠」を紹介していきたいと思います。