No 003 通り峠(三重県) 通り峠(三重県))

通り峠(三重県)

1340枚の棚田が広がる丸山千枚田敷 1340枚の棚田が広がる丸山千枚田
●三重県熊野市紀和町
●標高  390メートル

 紀伊半島を南下していく。棚田が望める峠があると聞いた。熊野古道である国道311号の細い道からさらに県道で奥に入っていく。風伝峠を超え地元の人に聞きながらそろそろと登って行き通り峠に着いた。展望のきく旧道を教えてもらいまた登り始める。棚田が一望できる場所を探し当て、カメラをセットするがどんよりとした写真しか撮れなかった。そのうえ風花が舞い寒さが益す。
  夕方まで待った。もう諦めかけ機材をしまいかけた時、厚い雲に覆われた空から陽が差してきた。山に沈む間際の太陽が千枚田の1枚1枚を浮き立たせてくれた。ほんの5分ぐらいのことだった。きっと峠の神さまが1日粘った最後にプレゼントをくれたと思った。

厚い雲から一時だけ陽が射してさしてきた瞬間 厚い雲から一時だけ陽が射してさしてきた瞬間
 丸山千枚田は1340枚の田が眼前に広がる。これだけの棚田は見たことがない。たぶん日本一の規模に違いない。
 この数の棚田を造るのにどれだけの年月がかかっただろう。村人たちが協力し合いながら1枚、1枚田を広げていった歴史と汗と米に対する執念のようなものを感じる。地元の人に聞くと、若い人が大阪や名古屋の都会に出て帰ってこないため、70代、80代のお年寄りしか残らず、米作りが大変になったと聞かされた。棚田は曲線が持つ独特の優しさがある。緑まぶしい夏や黄金色に輝く秋も見たいと思った。

通り峠map

★通り峠へのアクセス

・伊勢自動車道で伊勢大内山下車、国道42号を南下。熊野市に入り国道311号で風伝峠を越え丸山千枚田入り口から通り峠へ。 千枚田までは車で通行可能。

★周辺の見所

・平安時代の公家が熊野三山に詣でるために歩いた熊野古道は古の旅があじわえる。


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