No 022 仏ノ山峠(栃木県)~悲しい娘おせん伝説の峠~
 仏ノ山峠(栃木県)

仏ノ山峠(栃木県)

県道の脇に立つ夕日堂 県道の脇に立つ夕日堂
●栃木県茂木町~茨城県笠間市
●標高  194メートル

 話は鎌倉時代に遡る。妻を病気で亡くした浪人の侍と娘がこの峠にやって来て、峠の茶屋をひらいた。思ったほど通る人が少なく暮らしぶりがだんだん困窮していった。そして、浪人は峠にやって来る旅人を殺して金品を奪った。身なりの良い金を持っていそうな旅人を選んでは刀に手をかけた。それを知った娘の「おせん」は泣いて何度も止めるよう頼んだが父親は聞く耳を持たなかった。
 ある日、若い侍が峠に差し掛かって来た。浪人はいきなり侍に切りつけた。悲鳴とともに倒れた若い侍の顔を見て浪人は驚愕した。それは娘の「おせん」だった。父の悪行を止めるため、峠の下で訳を話し身代わりになったのである。
 

峠下の里山の風景(2月ごろ) 峠下の里山の風景(2月ごろ)
 娘の変わり果てた姿に罪の大きさを知った浪人は出家する。罪を悔い改める為二つのお堂を立て、朝起きると朝日の当たるお堂と夕方は夕日の当たるお堂で経を唱え続けた。いつか里の人たちは朝日堂、夕日堂と呼んだ。「おせん」の悲しい伝説は今も受け継がれている。

仏ノ山峠map

★仏ノ山峠へのアクセス

・JR笠間駅から車で県道1号線で約20分

★周辺の見所

・笠間市街地にある笠間稲荷神社は日本三大稲荷のひとつで、1300年の歴史を持つ由緒ある神社。


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