国道292号(志賀・草津高原ルート)上の渋峠は標高が2,172mで国道では国内最高地点になる。志賀・草津高原ルートは山岳道路特有の爽快感と美しい景色が楽しめるコースである。特に渋峠の眼下に広がる芳ヶ平は四季折々に異なる表情を見せる湿原である。木道を踏みながら静かな散策も味わえる。群馬県の草津温泉と長野県志賀高原を結ぶ志賀・草津高原ルートは観光道路として1965年に開通した。1992年まで有料道路だったが現在は無料化されている。草津温泉街を抜け湯気が立ち込め硫黄の匂いがただようなかを高度を上げて行く。徐々に山岳道路特有の風景に変わってくる。
渋峠は何回も通り抜けたがその度にちがった体験をする。11月のはじめに入ったときは途中から大雪に変わり、吹き溜まりで車が立ち往生になった。道路管理の黄色いパトロールカーに助けられ下山したことがある。5月に入ったときもふもとは天候も良かったが、峠近くは雪に見舞われ往生しながら峠を越えた。峠は人も車も通るが、山と山の間を空気が流れていく通路である。平地で温まった空気が峠近くになると急に冷やされ雪や雨になる。特に標高が高い渋峠は天候が変わりやすい。山の天気は怖いぐらいに変わっていくことを実感する峠でもある。