No 010 山刀伐峠(山形県)
山刀伐峠(山形県)
なたぎりとうげ
●山形県最上町~尾花沢町
●標高 470メートル
峠の名は、ここの地形が「なたぎり」と呼ぶ猟師がかぶる頭巾の形に似ていることからそう呼ばれた。
山刀伐峠は松尾芭蕉の「奥の細道」の最大の難所として知られている。奥の細道は江戸時代1689年(元禄2年)に松尾芭蕉と門人曾良が江戸を発ち、東北、北陸地方を巡ること150日。全行程2350kmの紀行文である。山刀伐峠を「高山深々として一鳥声聞かず 木の下茂りあいて夜行くがごとし・・・」と記している。鳴子から尿前を抜け、尾花沢に向かうが、山は険しく道は厳しく、弟子の曾良と地元の屈強な若者を道案内に、やっとの思いで越えたらしい。
今は歴史の道として整備され歩きやすくなっているが、それでもこの急な山道を息を切らしながら芭蕉一行が登ってきたかと思うと胸が高まってくる。時代は違うが、俳聖 芭蕉と同じ場所に立っているということだけで来てよかったという実感が湧く。
「月日は百代の過客にて 行き交う年もまた旅人なり・・・」で始まる紀行文「奥の細道」は人生を旅と捉えた名作で、これ以上の名文は読んだことがない。もともと武家出身のためか刀のように芭蕉の文は切れ味が鋭いと評する人もある。俳句は室町時代に連歌と呼ばれる作風が原型とされ17世紀に芭蕉により大きく開花した。短歌が武士のたしなみとされたが、町人たちも楽しめる俳句は、季節の中に美を見いだす日本人の感性を大きく伸ばした。
★山刀伐峠へのアクセス
・東北自動車道古川インター下車、国道47号に入り鳴子方面へ。最上町に入り県道28号で山刀伐峠に。
★周辺の見所
・歴史の道を散策した後、峠のふもとにある赤倉温泉は慈覚大師が開湯した温泉。万病に効く湯治場して知られている。
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